Mandrilling!

マンドリラーによるマンドリルブログ。内容が2年以上前の物となっております。なるべく早めにリアルタイムに近づきたいと思っています。

2021-03-14【その②】通説を覆す現実。

(↓)しんごちゃん(撮影時:4歳♂)

(↓)ケイ(撮影時:7歳♂)

(↓)しんごちゃん(撮影時:4歳♂)

(↓)ケイ(撮影時:7歳♂)

マンドリルのオスは、一般的に『顔の色が鮮やかなほど強い』と言われています。なので動物園の公式サイトを見てみても・・・

日立市かみね動物園|動物塗り絵をやってみよう!~マンドリルの塗り絵かいせつ~

上のサイト(↑)から一部抜粋。

オスの鮮やかな顔は力の強さを表し、色が鮮やかであるほどオス同士の争いで有利になります。」

マンドリル/札幌市円山動物園

上のサイト(↑)から一部抜粋。

群れの中で一番強いオスは顔の色も最も鮮やかではっきりしており」

などと記されています。が!この通説を覆す現実を目撃しました。写真や文章よりも動画を観て頂いた方が分かりやすいと思うので、まずはこちらをご覧下さい。(1:18あたりから観て頂くと分かりやすいと思います。)

www.youtube.com

分かりましたでしょうか?明らかに身体つきも小さく、顔の色の鮮やかさも劣る年下のしんごちゃんに、ケイが追い立てられていました(ちなみにこの日だけではなく、この後も続きました)。

続けて写真を貼っていきます。

(↓)ケイの”定位置”にしんごちゃんが座っていて、ケイは下におりています。この様な状況になる時、しんごちゃんが金網を上り始めると、ケイはすぐに急いで逃げていました。ちなみに、上ってくるのがツネ(ヨシツネ。明らかにしんごちゃんより強い)だった場合は、ケイはこんな感じでは逃げません(詳しくは、前回の記事に貼った動画参照)。

(↓)ケイの”定位置”に座るしんごちゃん。

(↓)ケイの”定位置”の木材をかじるしんごちゃん。(上に貼った動画の最初の方にある場面です。)

(↓)左隅にいるのがしんごちゃん。右側には、天井を伝って逃げるケイがいます。

(↓)天井にぶら下がるケイ。こんなケイの姿を見るのは心が苦しかったです・・・

(↓)頭をカクンとさせ威嚇しながらケイを見るしんごちゃん。

(↓)威嚇するしんごちゃん(左下)と、逃げるケイ(右上)

(↓)逃げるケイ。

(↓)やっと定位置に戻ってこれたケイ。

しんごちゃんがツネより弱い立場であることはすでに書きましたが、ツネだけではなく、右側のお部屋に居た頃から、「一番弱い」と云っても過言ではないくらいの存在で・・・。

唯一、アラタくんよりは強いかな?という時期があったものの、アラタくんには味方になってくれる「実の母オヨメちゃん」という存在もいたし、そういう意味でもそもそもが対等の立場ではないし・・・。

年下のツヨシくん(アラタくんの弟)も、もっと幼かった頃には「体力をつかっての遊び相手」としては、しんごちゃんの方が強いはずだけど、やはりオヨメちゃんの存在を気にしつつ遊んでいたし・・・。(そのうちツヨシくんは身体も大きくなってきた上に、もともと強気な子なので、オヨメちゃんの存在を抜きにしても、完全にツヨシくんが強い立場になったほどで。)

そんなこんなで、しんごちゃんは弱い立場(でも、「しゅん・・・(´・ω・`)」としているわけじゃなく、逃げて隅っこに居るわけでもなく、コミュニケーションを取ろうとするけど押されがち、といった感じ。)だったのですが、そんなしんごちゃんが左のお部屋に移動してきたら、そこには自分より身体も大きくお顔の色も鮮やかにもかかわらず、自分を恐れて逃げる「ケイ」という存在が居て、ちょっと調子に乗ってしまったのかな?という印象でした。

私が(のんほいに限らず)観ている限りでは、マンドリル(特にオスの場合)は、弱い立場であっても、先述のしんごちゃんの様に、コミュニケーションを取ろうとしつつ「押されがち」にはなるものの、ずっと離れたところにいたり、他個体が近づいてくると急いで逃げる・争いを避けるというケイの様な子はめずらしいです。

しんごちゃんがケイに対して強気に出るのは理解出来るんです。例えば、とくに幼い&若いマンドリルたちが、人間の幼い子(=絶対に勝てるであろう相手)を狙って威嚇するのはしょっちゅう観てますし、本能的に「立場や順位」を重要視する種にとっては、特に自分が弱い場合、より弱い者に対して強気に出るんだな、というのがあって。だから、しんごちゃんからすると、「こいつ、オレを恐れてる」と理解しての行動なんだろうと。

しかしケイは、当時7歳でまだ完全に「成獣」とは云えないまでも、見ての通りすでに結構立派な体格で顔やお尻も鮮やかだったにもかかわらず、「ここまで一方的に逃げるんだ・・・⁈」と結構驚きました。『顔の色の鮮やかさ=強さの象徴』説 が当てはまらない例ですよね。(あくまで1例ではありますが。)

この後もしばらくこの関係は続くことになるのですが(ケイが沖縄に移動するまで)、ずっと弱い立場であり続けながらも「ケイの顔色が地味になる」、なんていうこともありませんでした。

マンドリルに関して、一般的に(研究者などの間でも)言われていることと「違う」と思うことがありますが(歯を「イーッ」とするのが「挨拶」だとか「笑顔」だとかいう件。過去に何度も書いていますが、私はこれはネガティブな感情(苛立ち・居心地の悪さなど)の表現だと思っています。)、ケイとしんごちゃんのこの関係を観ても、いわゆる「公式」なところからの情報であっても「絶対」はないんだな、と改めて思いました。